EXHIBITION / 2025.06.29
マネキンは 1925年に京都で誕生しました。
島津製作所で島津マネキンとして生産され、
100年という時を刻みながら、
時代とともに服飾産業や文化事業に大きく貢献してきました。
マネキンはFRPで成型された等身大の「ひと型」をした空洞のプロダクトです。
過剰に消費される服飾産業の中で、
流行のメイクを施され人間の様相に近づき、
最新の服を着用されて華やかな服飾の世界を演出して、
往来する人々の意識を消費に繋げるのが仕事です。
やがて、業務を終えたマネキンは密かに倉庫に帰還して、
もうひとつの時間を過ごします。
マネキンは加熱した消費ビジネスにおける人間社会の様々な感情をボディに刻み、
何も語らず、静かに次の出番を待つのです。
マネキンが静か佇む倉庫を舞台に廃棄処分されるまでの姿を
写真家林雅之が撮影したドキュメント写真を展示します。
マネキンのもつ特性は服飾産業に大きく機能し、VMDに伴うアパレルのショップや
ウィンドーの空間演出の表現に大きく寄与しています。
モードのトレンドはマネキンを時代に合わせた体型に成形して、
流行のメイクを施し、最新のモードを着用させて華やかな服飾の世界を演出します。
しかし、リアルマネキンと呼ばれた人間の様相に近づいた「ひとがた」のプロダクトは、
昨今の服飾ビジネスにおいて、時代のニーズに呼応することなく、
静かにその役目を終えようとしています。
この写真展に登場するリアルマネキンたちは、演出後に密かに帰還し、
ウィツグと両腕を外され、次の業務まで格納されます。
庫内は外の社会からはしっかりと隔離されており、
マネキンを扱う現場の人たちは、公の場でのマネキンの扱いに神経を使い、
好奇な視線に晒されることに細心の注意を払っています。
それは、マネキンをひと型したプロダクトというモノとしてみるのではなく、
マネキンを人として意識し、人格までをみているのであろうと感じます。
そして、物言わぬマネキンたちは、過剰に消費される服飾産業の中で、
人間や社会のさまざまな感情を刻み込んで、静かに時の流れを見つめて、
加熱する消費社会に無言で何かを問いかけているようにみえます。
マネキンの倉庫内をカメラを覗きながら歩き回っていると、
どこからとなく視線を強く感じる時があります。
いつしか、マネキンを観ている自分が、
物言わぬマネキンたちにじっと観られている気配を感じるのです。
なぜか、人間としての所業を見透かされているような不思議な気がするのです。
マネキンはAI技術による人体造形やPCで生成されるアイコンと異なり、
人間の手によってリアルな等身大に造形されます。
人間の様々な感情をボディに刻んだマネキンが放つ、
冷静な感情や空気感をマネキン倉庫を再現した
展示構成から体感できる会場になります。
今年は、マネキンが島津制作所で生産されから100周年にあたり、
京都はマネキン発祥の地であり特有の産業と文化、歴史を持つことから、
2025 kyoto edition として構成し、大型カラープリント約90点を展示します。
是非、お誘い合わせの上 ご来場ください。
□ 写真展会場:NEUTRAL horikawa
〒602-8242 京都府京都市上京区皀莢町287(サイカチチョウ)
堀川新文化ビルヂング2F 075-431-5537
https://horikawa-shinbunkabldg.jp/
□ 写真展会期:2025年7月12日(土) − 7月27日(日) 会期中無休 入場無料
□ 開廊時間 :10:00 − 19:00
□ 展示内容 :大型カラープリントによる約90点の展示
□ お問い合わせ:堀川新文化ビルヂング ギャラリーNEUTRAL https://horikawa-shinbunkabldg.jp/contact/
□ イベント :①トークショー 7月12日 16:00 – 17:30
林雅之(写真家)、大野木啓人(京都芸術大学常任理事 教授)、
徳山弘基(AXIS編集長)でトークショーを行います。(参加無料)
②レセプション 7月12日 18:00 – 20:00
③ギャラリーツアー:7月19日(1回目 16:00〜・2回目 18:00~ )
定員:毎回 15名 (要予約 参加無料)
ギャラリーツアー申込フォーム または、
お電話 075-431-5537 (NEUTRAL事務局) にてお申込みください。
□ 主催・企画:NEUTRAL(株式会社大垣書店) 有限会社林雅之事務所
□ アートディレクション・グラフックデザイン:庄司竜郎(STUDIO TATSURO SHOJI)
□ マネキンメイクアップ:菱田光芳(株式会社七彩)