植物は、画家の安田奈緒子さんと私自身の作品表現に共通するモチーフのひとつです。
安田さんとの長年の交流のなかで 写真と絵画がミクストメディアとして成立するのか、試行錯誤しながら制作を試みてきました。
写真という具象的な表現に、抽象的なペイントという異なる表現を重ね合わせることによって、
私自身の感情と画家自身の感情が、静かに融合したり 時には激しく反発しながら、新たな作品の制作を続けました。
植物の生きる花影をマクロレンズで切り撮ってプリントし 画家の感性で絵の具を被せていく行為は、刺激的でした。
植物写真 あるいは植物絵画、そのどちらとも捉えることのできない作品となって、
具象的とも抽象的とも表現することのできない、ふたりのコラボレートから生まれる唯一無二の表現にあらたな感情を覚えたのです。
林 雅之