植物観

脳による思考や意志を持たない植物たちは、気候の変化を回避するためや、
養分を求めるために自ら移動するという術を持ち得ませんが、
種属を生存させるため 自生している環境に適合すべく、
⻑い時間をかけて細胞の進化を遂げてきました。
種属を残すために、自生地の過酷な気候変化に対応しながらも、
種子をつくり、 生育に適した環境が整うまで休眠し、
発芽の時期を⻑い時間をかけてじっと待ちます。
花びらの細胞が生成する色素や形態は、
昆虫を呼び込み種子を作るために受粉をさせるべく、多彩な表情を生み出します。
その容姿は、香りとともに華やかで美しい。
それでいて、自生地で風雪に耐えながら光合成をするために
太陽光を求め空に向かう樹幹は、力強く逞しい。

多肉植物は、過酷な乾燥地で生息するために組織に水分を蓄える機能を持ちます。
驚くべきことに、高気温による組織内の水分の消失を防ぐために
表面を木質化させたり、毛茸を生やしたり、粉を吹いたりもします。
また、擬石化するなど動物による捕食を避けながら、
形態や組織機能を進化させて 種属を強かに残そうとします。
細胞を進化させながら強かに生息する植物の姿は、
逞しくもあり、美しく可憐でもあります。
そんな動かぬ、物言わぬ植物たちの姿をカメラのレンズ越しにじっと観ていると、
なんだか、生きていくための活力をいただいている気がするのです。

                         林 雅之
TITLE
植物観
CATEGORY
Self Initiated Project
OUT PUT
Exhibition
DATE
2024.04.19 - 05.26
VENUE
Y& Gallery
COOPERATION

Y& Gallery   銀一株式会社

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