スチルライフを主体に撮影を行っている 世代を超えた7人で、
従来の静物写真に新たな解釈を加える作品を制作し、「STILLPLUS」展を行いました。
私は長年に亘りマネキンを撮り続けてきましたが、この機にマネキンの短い生涯を作品にまとめることにしました。
マネキンは等身大のFRP製のプロダクトです。
服飾産業のなかでその特性を十分に機能させながら、
冷たい空洞のボディに着色された塗料の皮膜に、創り手の感性や使い手の感情が 生きた時間として刻まれていきます。
過剰に消費される服飾ビジネスの渦中で、彩色を施されて人間の様相に近づき その機能を短い生涯に全うしていきます。
マネキンは生産されてから産業廃棄物として廃棄されるまでの間に、人間社会のあらゆる感情、所業をその身体に刻みつつ、
消費社会の結末を案じているような気がしてなりません。
言葉のない会話を交わし、覚えた感情を写真に重ね合わせていくと、マネキンが佇む静かな時空がそっと動くような気がします。
私にとってのSTILLPLUSとは、このようなことかもしれません。
林 雅之